はるこまについて



江戸時代の春駒図

●はるこまとは――
 春駒(はるこま)は、江戸時代から昭和のはじめにかけて、新春の祝いにやってきた祝福芸能。
馬の頭をかたどった作り物を、手に持ったり、腰につけたりして、家の門先で、
  ♪春のはじめに はるこま勇む
    夢に見てさえ よいとや申す
と歌い囃し、賑やかに踊って、幸を呼び込み一年の繁栄を祈念した。
農村部では、養蚕の祝いとされることが多く、群馬や新潟、長野などの養蚕地帯に多く伝承されている。
一方、都市部では、芥子粒ほどの卵から多くの蚕が育ち、たくさんの繭が取れ、絹糸ができることから、繁殖の予祝とされ、絹織物を大事にする花柳界ではことのほか喜ばれた。また、佐渡や甲州、あるいは広島県尾道などでは、金山伝承とむすびつき、財宝をまねく祝祷の芸能とされている。


演芸会の模様

●向島での祝福芸再現の試み――
 年々、季節感が薄れていくなかで、正月の行事も消えつつあり、お正月の習俗としての「祝福の大道芸」も、いまや風前の灯である。そんななか向島地区には、七福神めぐりの伝統が息づき、いまも正月の習俗が残っている。この伝統に触れ、胸を借りることで、祝福の大道芸も息を吹き返すのではないか。そのような思いから、2001年より「はるこま七福神めぐり」をやらせてもらうことになった。


●地域および参詣客のみなさんと新春を祝う──
 「はるこま七福神めぐり」では、まず、隅田川七福神の各寺社をめぐり、つづいて向島二丁目地区を中心に門付けし、最後に三囲神社で演芸会を行なう。寺社めぐりでは、祝福芸「はるこま」と余興芸を披露し、参詣客の皆さんとともに新春を祝い、縁起カードなども頒布する。地域の門付けでは各家の繁栄を祈り、縁起カードのほか福引券も配布する。



●奉納演芸と福引――
 三囲神社での奉納演芸会を行って大団円となるが、最後は「福引」で締めくくる。門付け時に配布した福引券で、当選者を選び、景品を配るというもので、新春の運試しとして楽しんでいただいている。


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